修理したHP 54600A オシロスコープのセルフ校正
H5460xxにはセルフ校正機能があり、比較的簡単に校正できます。
但し、内蔵セルフ・テストの実行で、DACの出力レベルのチェックで問題がないことが、大前提となります。
もし、DACのセルフチェックで問題がある場合は、ほぼ修理は不可と思いますし、リアにあるDAC出力を使用するので自己校正はできません。
まぁ、気休めに各電圧をチェックして、5.1V電圧を調整してみるくらいですが、調整できる程度なら、ほぼDAC回路とは関係ないでしょう。
自己校正に必要な機材について
BNC同軸ケーブル 1本
BNC同軸ケーブル 2本
23cm程度で同じ長さの物が必要です。
実際には、特性が同じで長さは50cmとかでも大丈夫なようですので、最初の1本と共用できます。
BNC T型アダプタ m-f-f 3個
BNC 50Ω 終端
パルス発生器
100kHz,1Vp-p,Risetime<5nS
実際には、周波数や電圧は画面表示のようにシビアでないの通常の簡易的なパルスジェネレーターでも問題ないと思いますが、問題は立ち上がり時間が5nS以下という条件です。これは、結構高価な機器でも限られるスペックと思われます。(普通は、せいぜい15nS~)
H5460xx、自己校正の為のパルスジェネレータを作成
ということで、自己校正用の立ち上がりが5nS以下と急峻な矩形波発振器を作成します。
いろいろ実験した結果、以下の回路図になりました。
LMC555の出力のプルアップ抵抗を小さくするほど、立ち上がり時間は短くなります。
また、LM7171の出力の可変容量コンデンサを調整することで、オーバーシュートを発生させて立ち上がり時間を短くできます。
この回路は検討段階の作成経過の影響でLMC555を負電圧で動作させていますが、VDD/VEEが5V以下で丁度良い出力電圧がえられるので、正負電源で動作させることで、カップリングコンデンサを排除して、LM7171の入力抵抗も削除することでより急峻な波形を得られる可能性があります。試していませんが(-_-;)
電源電圧がVDD=5V、VEE=-5Vで目的の波形を得ることができました。
LMC555は、電源電圧により、周波数が変わってしまいますが、今回は周波数はシビアではないので問題ないでしょう。
但し、変動は良くないと思いますので、暖機運転後の使用となります。電源ON直後は、周波数の変動があります。
最終的には、LMC555でクロック発生回路を内蔵しましたが、LM7171に外部クロックを通すことでも校正用の急峻な立ち上がり波形を得ることもできます。上記は、その時の写真です。
立ち上がり時間の短い波形を作れてより汎用的なものとして、Si5351Aを使ったクロックモジュールを使う方法もあります。
ArduinoなどI2Cを持ったマイコンボードと接続することで任意の周波数を得ることができます。
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駆動電圧を変えれるようにすることで、1nSという急峻な波形をその特徴を生かしたままで、出力インピーダンス50Ω&必要な電圧レベルが得られます。(スペック的には….気が向いたら確認したいと思います。)
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これらを使うことで、オシロスコープとの接続も容易に実現できます。
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Arduino上で簡単なUSB-I2C変換プログラムを用意して、設定はPC経由で行うことで、比較的容易に目的のパルスジェネレータができると思います。
さらには、ArduinoのPWM出力を使って、Si5351Aを使ったクロックモジュールに供給する電圧をコントロールすることで、出力電圧の可変化など、後々も遊べそうです。
無事、HEWLETT PACKARD 54600A のセルフ校正 完了!
NvRAMの電池消耗で校正値を失ったHP54600Aですが、無事に自己校正が出来ました。
自己校正の肝となるDAC出力も正確な値でしたし、リードアウトの数値も周波数カウンター、デジタルマルチメーターなどの値と差異はないようなので、安心して我が家の主力測定器として使用できます。
バンザーイ!