IWATSU 岩通 ユニバーサルカウンタ SC-7203 を入手
1.3GHzまで測定できるアマチュアが使用するには十分な周波数カウンターです。
「悪い状態ではないが、正しく動作するものかどうか不明」という商品でしたが、出品写真から明らかに故障品でした。
デジタル表示が正常にされていません。
表示機能そのものの故障の可能性もありますが、おそらく、初期リセットが正常に走らない状態と推測した上で、入手しました。
IWATSU 岩通通信機 SC-7203 universal counterの開腹
電源を入れるたびに表示が変わり、岩通のカウンターの見慣れたLEDの表示(全点灯から数字が表示される)がされません。やはりリセットが走っていません。
リセット回路(電源電圧監視IC TL7700)はバックアップ電池(NiCd)の近くにあるので液漏れで悲惨な状態も想定して、開腹してみました。
写真は、TL7700交換後ですが、部品面は綺麗で、TL7700の足が黒ずんでいる程度でしたが、基板裏側には、腐食跡とNiCd電池を交換した形跡がありました。
リセットIC(電源電圧監視IC) TL7700をM51957Bに交換
TL7700は現役のICなので入手も可能ですが、手元にM51957B 電圧検出システムリセットICがありましたので、これに乗せ換えることにしました。
検出電圧やPin配置が異なりますが、機能ピンは同じですし、SOPですのでDIP変換に変換基板を使用しますので、変換基板上でPin配置を変更しました。NCを利用して、パターンカットは1か所だけで、あとはすず線で取り付けピン兼用で配線しました。(詳細は写真を参考にしてください。)
検出電圧が変わりましたので、抵抗値も変更します。(写真右したので亀の子 抵抗(^-^;)
無事起動するようになったところで、周波数表示の校正しましたが、規定時間の電源起動後1時間を過ぎても周波数表示が安定しません。
内部の基準クロック10MHzの温度補償がまともに働かなくなっているようです。
SC-7203をSC-7204相当にアップグレードする
SC-7203には高精度基準クロック搭載モデル SC-7204があります。
筐体は兼用ですし、基板自体も共用でパターンは存在しています。
パターン確認中に気が付いたのですが、TCXO(TC314A)への電源供給が、TC314Aの横にあるR196経由で供給されています。これカーボン抵抗でしょうから、温度によって値が変動します。ということは、「温度によってTCXOへ供給される電圧が変わる=周波数が変わる」となります。なぜかわざわざ電源パターンをカットしてまでこの接続に変更されています。確認はしていませんが、この引き回しを変更するだけで改善が期待できそうに思われます。
実際に
簡易的にTCXOを熱遮断してみましたが、周波数の変動傾向は変わりませんでしたので、変動要因は横のカーボン抵抗がかなり疑わしいと思います。
今回は、SC-7204相当まで性能を引き上げる為に手持ちのOCXO(OFC MC852X4-004W)を載せました。
TC314Aの上にあるコネクターパターンに接続します。R196経由でTCXOにつながる電源ラインがコネクターパターンにあるので、これをGNDに落とせば、TCXOは実装のままで行けるかと思いましたが、このラインはパワーオンスタンバイの機能があるようで、GNDに落とすと起動しません。なので、TCXOは仕方なく取り外しました。(何か使い道あるかなぁ?….一度単体で温度補償の確認をしてみようか….)
このコネクタへは、上の写真の左から、「AC・AC・NC(GND)・CLK・STB?(R196に接続)・GND」となっており、OCXOの電源はACを整流安定化(DC 12V程度)して使用することになります。OCXOは温度が安定するまで電流が流れますので電圧安定化回路(三端子電源)のヒートシンクが少々心もとないですが、とりあえず我慢してもらう事します。(実装スペースも厳しいし、適当なヒートシンクが手持ちにない為)
ちなみに
- 筐体の内側はEMI対策で導電性塗料が吹き付けられていますので、ショートさせないように注意が必要。
- 起動を遅らせたい場合はSTBをGNDレベルに落とすと起動しません。
さて、こまかい事はパスして….(^-^;
こんな感じになりました。(線長に余裕がなく少々ぶちゃいく。ACラインはツイストにしてNC/GNDでしっかりシールドして、もう少し引き回しに余裕を持たす方が良いでしょう。長期を考えると配線にストレスは故障の要因になりますから)
しっかり、GPSで校正して、下1桁±2以下となりました。電源起動後約15分でほぼ安定状態に入りその後の変動は見られません。流石!!OCXO